令和5年2月定例会 02月27日-06号
1 認知症サポーターについて
2 スポーツ振興について
田口裕士議員
それでは,通告に従いまして質問させていただきます。
1,認知症サポーターについて。
令和2年の国勢調査において,岡山市の65歳以上人口は18万5,000人を超え,平成27年の調査時から約1万人増加し,高齢化率は26.4%となりました。岡山市には,令和2年9月時点で認知症高齢者の方が約2.5万人いらっしゃいましたが,令和7年には約3.3万人になると推測されています。このような中,岡山市では認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らしていける地域社会の構築を目指し,取組を進めています。その取組の一つとして,認知症の啓発があります。認知症を正しく理解し,認知症の人や家族を温かい目で見守る認知症サポーターの育成に努め,取組を始めてから令和3年度末までには約5.8万人のサポーターが養成できたとお聞きしております。
一方,そのサポーターの育成講座を受講された方から認知症は怖いものといったネガティブな感想が漏れているのをお聞きし,岡山市の思いや目指すところがまだまだ伝わっていないのではないかと危惧しているところであります。
そこでお尋ねいたします。
(1)認知症サポーター養成講座による啓発は,認知症施策の土台となる重要な事業と考えますが,課題をどのように捉え,今後どのように充実させていくのか,御所見をお示しください。
(2)認知症になっても地域で自分らしく暮らしていける社会を形成するためには,認知症になった御本人が考える暮らしを認知症サポーターをはじめとする周りの人がしっかり理解し,地域の中で共に実現していけることが重要だと考えます。御所見をお示しください。
2,スポーツ振興について。
プロスポーツ支援のため,新アリーナの検討については来年度予算の市長査定で3,000万円が計上されています。過去には,新アリーナと新庁舎を合築で整備する案が経済界から提案されました。実現可能性の面から,見送られました。今回は市有地である北長瀬みずほ住座跡地という絶好の立地条件で,官民協力して具体的な検討を進めるということであります。多くのスポーツの関係者が期待しているところであり,しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
一方,プロスポーツの支援で見落とされがちなのは,引退した選手のその後の生活であります。引退後,監督やコーチ,テレビの解説者など華々しい活躍を続けることができる人もいますが,それはほんの一握りであります。多くのスポーツ選手が,引退後の生活に不安を感じているともお聞きします。そこでお尋ねいたします。
(1)岡山にゆかりのある選手が活躍した後,引退を迎えられてから,ここ岡山のスポーツ振興に寄与していただきたいと考えます。御所見をお示しください。
(2)中学校の部活動地域移行のモデル事業が来年度から実施されますが,一番の課題は指導者の確保だと考えます。引退した選手が地域の指導者になってくれれば,指導する側・される側双方にメリットがあると思いますが,その際考えられる課題も含め御所見をお示しください。
以上で第1回目の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
大森雅夫市長
私は,スポーツ振興についてお話をしたいと思います。
活躍した選手が引退後に岡山のスポーツ振興に寄与してもらうことについての所見,また中学校部活動の指導者に引退した選手がなることについて,課題を含め所見をということであります。
私も田口議員おっしゃるように,これ双方の面にとってプラスだろうと思っております。まず,確かにモデル事業を今やろうとしているところでありますが,それ以降の道筋というものが明確にできているわけではありません。したがって,その中で道筋を描くときに一番重要なのは,指導者をどうやって確保するかということであろうと思います。それから,やはりプロスポーツで活躍した選手というのは相当先天的にも,また後天的にもそのスポーツ界で努力された方,そのノウハウというのが必ずしも生かし切れていない。それをどうするかという面では,双方にとってプラスがあるということは間違いないと思います。
ただ,これからそうした方が中学校の部活動の指導を担うということは,選手にとっては今申し上げましたようにこれまでのキャリアを生かすことができる,そして指導者の確保につながるということではあるんですが,一方では選手への報酬や選手が所属する企業等との雇用条件,指導者としての資質の担保等課題はあると思います。
実は一昨日,私が商工会議所青年部の30周年の記念の式典に出てまいりました。商工会議所青年部から2つの政策提言を受けたわけでありますが,その1つがこの問題であります。彼らのほうも同じように地域にとってプラス,ないしはその人にとってプラスということから見ると地域移行というのが必要ではないかと,そこに商工会議所として青年部として関与することができないかというようなことをおっしゃっていただきました。そういう関心を持っていただくということは,非常に我々としてもありがたいという話をさせていただいたところであります。経済界もそういうふうにおっしゃっていただいているということもあり,今後我々にとっては指導者確保の視点から何ができるか,どうすればいいのかということを詰めていきたいと思っております。
以上です。
◎福井貴弘保健福祉局長 1番,認知症サポーターについての項で,まず認知症サポーター養成講座についての課題と今後どのように充実させるのかの所見についてです。
講座では,脳の医学的な話やその症状についても講義をすることから,将来自分もそうなるのかといったネガティブな印象が強くなりがちなことが課題であると認識しています。本市では,周りの人が意識を変えることで認知症の人が安心して地域で生活を続けていけることも伝えており,国が作成した教材に加え,手助けの事例や相談窓口の案内を載せた副読本を作成し,講座で配布しているところです。今後は,認知症の人もそうでない人も日頃から一緒に活動しているチームオレンジの事例や認知症の人が働いて活躍している事例を紹介していくことで,講座を受けた方の認知症に対する偏見や不安を解消し,意識を前向きに変えていきたいと考えています。
次に,認知症になっても地域で自分らしく暮らしていける社会の形成についてです。
議員御指摘のとおり,認知症の方の声を周りの人や地域の人々が正しい認知症の理解の下で受け止めることが重要と考えています。本市では,本人ミーティング,ピアサポーター事業といった認知症の方やその家族の不安,戸惑いを払拭していく取組や住み慣れた地域でどのように暮らし続けていくかということを周りの人と考え実践するチームオレンジの取組などを進めています。先日,岡山市のチームオレンジの取組は,全国の認知症施策を推進する全国キャラバン・メイト連絡協議会主催の優良活動事例表彰で特別賞に選出されたところでもあり,引き続き各種の取組を進めていきたいと考えております。
以上です。
田口裕士議員
御答弁ありがとうございました。
まず,認知症のほうから。
実を言うと局長が言われるとおりなんですね。やっぱりいかに──これ要は年を取ってくると例えば膝が痛いとか白内障になるだとか,それと一緒なんですね,認知症も。やはりそうしたことを捉えていくと,ごくごく当たり前のことがこれから起きてくる,そうしたものをしっかり家族も地域も含めて取り組んでいって,お互いに認知症の方も含めて地域が支えていこうねというのがまさに認知症サポーターのこの事業で,岡山市は独自にその一つのテキストというものを作ってやっている。ただ,国のカリキュラムのテキストがあって,それは国から定められたものを順次やっていくという決まりがある。今度どっかで見てください。そのテキストが,これ大丈夫か,認知症になったら大変だよねと言わんばかりのテキストなんですよね。そこに負の感情が生まれてきて,せっかくいいシステムでいいものをつくり上げているのに,そのテキストでどうしても負のイメージが出てくる。だから,市の取り組んでいることというより,やっぱり国のほうへしっかり現場の声を伝えて,テキストそのものを──年を取ったら膝も痛くなるし白内障にもなるし認知症にもなるんですよ。僕もおふくろが認知症になって,今グループホームにいるんだけど,息子の立場からいうとちょっとえって思うことを言ったときに,ついつい息子だからおまえ何をばかなことを言よんならと言ってしまう。そこからだんだんだんだんやっぱり萎縮してくる。初めて体験して,そうじゃなくやっぱり肯定してあげて,それも一つの特徴として,膝が痛いからおめえ膝が痛いんなら歩かんでええんじゃとは誰も言わんと思うんですね。気をつけてくださいよと,それと一緒で,やっぱり肯定してあげて家族も含めて地域が盛り上げるのが,これからの高齢化社会を目指す上での一番大事なことだと思う。その上でのネックが,あのテキストだと僕は思っている。もう一度その辺をどう考えているのか,そういうことをちょっと現場の声として国のほうへ上げていけるかどうかということを再度質問したいと思います。
次,プロスポーツについてです。
これ何でこんな話かというと,実を言うと市長にもお越しいただいた学童少年野球の川相杯のときに,僕の後輩になるんですけどジャイアンツの川相元選手,今度1軍になって総合コーチですかね,1軍と帯同している。その川相選手から,なあなあ,田口さん,実を言うとプロ野球の世界でもプロになってから第2の人生で結構皆不安を持っとんよ,そんな話を聞かせていただきました。そのときに言っていたのが,プロ野球の選手でもイチローっていますよね,あのイチロー,あのイチローですら3日間講習を受けて,アマチュアの指導ができるように講習を受けて,今アマチュアの指導をしている。プロ野球の選手が引退されても3日間講習を受けて,アマチュアの指導をしている。プロサッカーの場合は,まだまだそれより厳しい資格みたいなのがあるそうです。ね,下水道河川局長。サッカーのほうはもっと厳しい何かライセンスみたいなのがあってアマチュアを指導できる,プロの選手が。そうした講習を受けた方,ライセンスを持った方,それもプロですから,いわゆる野球界でいえば最高峰,サッカーでもそうです,テニスでも全て,そうした最高峰の選手たちが第2の人生として──確かにお金の問題とかいろんな問題があるかもしれないけれど,例えば憧れの選手が中学校の部活で指導してくださるとなれば,今まで部活離れしていた生徒も部活で活動していけば健全な体に健全な精神が生まれるようなんで,部活なんかでもそうしたことを考えて,最高のレベルの中でひょっと憧れの選手なんかがそういうことになれば,物すごくいいウィン・ウィンの関係になるんではないかなと思うんですね。その辺,教育長ちょっと御答弁のほうお願いします。
それから,市長が先ほどの答弁の中で経済界とあわせてそういう分があると。実を言うと,このアリーナというのはうちの自民党政隆会としても何が何でもやってくれということで,一つの重要政策課題として挙げていました。
なぜかというと,そのプロを盛り上げる中で市長の答弁とかいろんなことを総合すると,ジップアリーナがもう筒いっぱいになっているから北長瀬にするんだよというような話があって,ちなみにですけど岡山県の施設であるジップアリーナって僕の記憶じゃったら県の施設でも何ぼか出しとんじゃないんかなと思うんです。その辺のことがもし分かるようでしたら答弁のほうをお願いいたしたいと思うんで,その3点です。
よろしくお願いいたします。
大森雅夫市長
巨人の川相さんの話も出たんで少し答えたい面はありますが,教育長を御指名ということなのでやめて,ジップアリーナの話を申し上げたいと思います。
実は,今回の新しいアリーナを造るに当たって,市民生活局のほうで今までの様々な施設,どういう分担でやっているのかというのを調べたものがあります。それから見ると,ジップアリーナに関して言うと県の施設として造られている。我々の資料からいくと,総額35億円ということになっております。多分といいますか,恐らくこの都市計画事業としてやられている可能性が高いと思いますんで,当然ながら負担金,条例について議論させてもらっていますが,旧条例でいくと半々ということで県と国庫の支出を除いて交付金を除いていくと,市と県が同じ額を払っているということだろうと思っております。我々の資料でいくと,市から9億円ですか,約9億円出しているというような数字が出ております。ちなみに,その計画にどう関わったのか。これ岡山の国体開催時の話であります。ジップアリーナの整備計画にどこまで市が絡んでいるのかというのは,市民生活局での資料ではよく分からないということになっております。
田口議員の話は,新アリーナについてどうジップアリーナが参考になるのかということを示唆しておられるのかもしれませんが,私としてはもちろん過去の事例として参考にならないわけではないとは思います。しかしながら,新計画,我々これから基本計画をつくるに当たっては,白紙でそこは臨んでいきたいと思っております。しかしながら,多くの議員の方もおっしゃっている,これが県全体にも非常に大きな効果をもたらすものであり,我々としては広域的な観点からの関与というのは必要だろうと思っておりますので,それはこれからも変えずに対応していきたいと思います。
以上です。
福井貴弘保健福祉局長
認知症サポーターの養成講座のテキストがちょっとネガティブな内容だということで,その所見とか,あと国へ見直しの要望をしてはどうかという質問だったと思います。
私自身も,十数年前にたしかこうしたテキストで講座を受けたんですけども,認知症とは脳の病気であるとか,あと症状はこうだとか,結構専門的な見地のものも記載されています。一定程度そういったことも伝えなきゃいけないとは思うんですけども,やはりそっちが強調されているということが答弁で申し上げたように不安をあおっていることになっているんだと思います。現在,国のほうでもこの教材の見直しに着手したと聞いています。場合によっては令和5年度中には見直し後のものが示されるとは聞いていますので,その期待とともに注視しながら必要であれば岡山市からも要望はしていきたいと思います。
以上です。
三宅泰司教育長
中学校部活動の指導者として元アスリートの活用を考えてはという再質問です。
実は私も川相選手は野球部の後輩でして,以前川相杯の後,母校中学校の指導にボランティアで来ていただきました。当時私の息子もおりまして保護者もたくさん来ましたが,やはり子どもたちの目が輝いて,親も目が輝いていましたけど,プロスポーツをされた方はすごいオーラが出ていて,モチベーションが上がることは間違いないと思っています。
一般論として答弁させてもらいます。
プロスポーツに限らず,トップレベルで活躍した元アスリートから中学生が専門的な指導を受けることは生徒のニーズに応えるとともに,当然モチベーションのアップにつながると思います。そして,他の指導者においても,指導内容の充実につながると考えています。一方で,部活動は好ましい人間関係の構築,責任感,連帯感の涵養など多様な学びの場であるという観点から,生徒の安全,健康面及び心理面にも配慮しながら指導していくことが求められます。このようなことを踏まえ,今後指導者確保策を検討する中で,どのような関わり方ができるのか,具体的な方策について研究してまいりたいと思います。
以上でございます。
田口裕士議員
すみません。令和5年度中に改正できるんなら,それはそれで期待しておりますし,またそれをしっかり検証した上で,これは本当にいいことなんで,そういう受け入れる社会をいかに構築していくかということに御尽力いただきたいと思います。要望で結構です。
それから,恐らくそこに諸問題が出てくるとは思うんだけど,中学校のそういう部活の中にどういう形でプロの選手を受け入れるか,どう具体的にしていくかというスタートラインから一歩出るか出れんかの答弁をしてください。できるかできんかということは物すごい大事なんで,研究してちょっと一歩前へ出るか出れんかという答弁をお願いします。
それから,市長ありがとうございました。まさしく言わんとすることはそういうことなんです。県の施設としてあるけれど,都市計画決定の中で今議論している5割というのは岡山市が払っている。僕も恐らくその記憶です。議員をしていましたんで,そういう記憶であります。だから5割,でも市の施設だろうが県の施設だろうがやっぱり市民,県民のためじゃないですか。それがたまたま県の施設であって,市がしている。今度は市の施設として,要するに広域的にアリーナをしようと言ったときに,やっぱりそこは広域的な見地から我々岡山市じゃなしに岡山県の仕事だと思うんですね。その辺をしっかりと御理解を市民にもしていただき,そして県民にもしていただいて,そういういい形で実現できるようにぜひお願いしたいと思いますんで,再度答弁のほうお願いします。
それでは,これで質問を終わります。
ありがとうございました。
大森雅夫市長
ジップアリーナの話がありましたが,もちろんシティライトスタジアムも同じようにやっているわけであります。市の施設でいくとシンフォニーホール,これも調べています。先ほどはスポーツの話でありましたが,文化,特にシンフォニーというのは音楽の面では非常にすばらしい施設を持っていて,これは岡山市民だけじゃなくて多くの県民が利用している,こういうものであります。したがって,シンフォニーホールも広域的な観点から県のほうはしかるべく負担をしているという状況にあります。そういったことも考えていかなければならないと思います。
ただ,今回劇場ありますよね。劇場265億円という多額のものでありますが,これは県には負担を求めていません。ここは合併推進債を利用させていただいて,有利な財源が使えると。私は劇場もこれは多くの県民というか,広いエリアに影響がある,プラスの影響があるものだと思っておりますが,今回は2つの施設を1つにする,そういったことで推進債を利用させていただくということもあって,県に負担を求めることはしませんでした。様々なものによって,また方法によっていろいろなケースがあると思いますが,特にプロスポーツを優先してやるものというのは市民というよりも広域的にいろいろな受益が及ぶものでありますから,私としては広域的な行政の関与が必要だろうと思っております。
以上です。
三宅泰司教育長
再度御質問がありましたが,答弁しましたようにお互いウィン・ウィンの関係はあると思いますので,今の枠組みの中で部活動指導員をしていただけるのならできると思うんですけど,やはりセカンドステージということをおっしゃられると謝金1,600円というところが非常に気になりまして,そのあたり今後当事者の方の御意見も聞きながら検討していくしかないかなと考えております。
以上です。
和氣健議長
以上で田口議員の質問は終わりました。