令和 3年 6月定例会 - 06月14日-03号
1 路面電車の延伸・環状化について
田口裕士議員
それでは,通告に従いまして質問させていただきます。
路面電車の延伸・環状化について。
令和5年夏頃のオープンに向け岡山芸術創造劇場の整備が進み,その劇場を中心として商店街や旧城下町エリアのにぎわい創出への期待が高まっているところであります。そうした中,やはり重要となるのは,岡山の玄関口である駅前エリアと当該エリアを結ぶ,利便性が高く効率的な公共交通ネットワークの構築であります。都心の回遊性向上に大きく寄与する大雲寺前電停から岡山芸術創造劇場を経由して西大寺町電停までの区間の路面電車の延伸化に地元も期待が高まっているところであります。
2月定例市議会において,この区間の整備の実現に向けた事業の進捗について質問させていただきました。その際市長からは,早期に手続を行うよう要請したところ,事業者からこの区間の運営の実現に完全公有民営方式を求められており,市としては事業者の考える完全公有民営というのは何なのかを確認した上で,公がどこまで負担するべきか,市民に理解してもらい,透明性を持って対処したいとの答弁をいただきました。
まさにそのとおりで,私としてもこの路線の必要性については重々承知しているところでありますが,実現のためには,市民の理解を得られるよう,公と民の役割分担と費用負担の考え方を整理する必要があると考えております。
そこでお尋ねします。
その後の進捗状況についてはどうなっているでしょうか,お伺いいたします。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
大森雅夫市長
2月議会で田口議員から路面電車の延伸・環状化について質問されたのをよく覚えております。そのときに,岡山電気軌道が完全公有民営方式ということを我々のほうにこの方式でいけないかということを言ってまいりました。その完全公有民営方式の具体の内容が分からないということで,その内容を教えていただきたい,そしてそれを踏まえて検討したいという旨を伝えさせていただきました。
電気軌道から返ってきた答えでありますが,従来どおりのスキームでは,特許申請で国が求める30年間での採算性の確保が困難。完全公有民営方式とは,地域公共交通活性化再生法に基づく軌道運送高度化事業であり,この制度を活用している富山市のスキームを参考にしてほしいという趣旨の回答がありました。早速この富山市のスキームを調べたところ,線路や車両等の設備を市が整備する。そして,市が保有する。その設備を事業者に市が貸し付ける。事業者は維持管理費相当分として施設使用料を市に払った上で運行を行い,運賃収入を得るものということでありました。岡山電気軌道としては,従来どおりのスキームでは採算が見込めないと考えているようであります。
我々としては,今年10月から高齢者・障害者割引の実施を始めます。また,初乗り運賃の適正化の実施も予定しているところであります。これらの施策が採算性,経営の安定化に与える影響は非常に大きいと考えております。したがって,私としては,高齢者・障害者割引や運賃適正化の影響を考慮した採算性について具体に,定量的に検討するよう都市整備局に指示したところであります。この検討結果を踏まえて,来年度の予算までには方向性を出し,皆様方にお示ししたいと思っております。
以上です。
田口裕士議員
それでは,再質問させていただきます。
なぜ岡山電気軌道が採算を見込めないのか。返事がそう返ってきたということで,なぜ見込めないのかなということが1点。
それから,もう一点は,2月議会において市長は透明性がキーワードになってくるということを言われたと思うんです。その透明性とは一体どういうふうなことで確保するのか。市として今言われておる透明性ということをいかに確保するか。なぜそんなことを言うかというと,今富山の例を出されて,公がある程度すりゃええじゃねえか,あとは事業者にそれなりにやってもらう。路面電車は確かに交通事業者,岡山電気軌道だけかもしれない。でも,岡山市にはバス事業者を含めて全部で9社かな。じゃあ,そのあと残りの8社にも同じ理屈が立つと思うんよな。だから,やっぱりそこをきっちり民間事業者も市民も含めて,これについては市の持分,事業者の持分,それから3分の1国が出すんですかね,そういう形でちゃんと透明性を確保して税金を出すということを理解していただくということが大変重要になってくると思うんです。ただ,出した,こうこうでやったからよろしいんじゃないですかという部分にはならないと思うんで,その辺の答弁をよろしくお願いします。
大森雅夫市長
田口議員の質問が出たということで,もう一度担当と話をしました。新たな情報が来ているかどうかという点でありますが,新たな情報は来ていないということでありました。そういう面では新型コロナウイルスの影響も岡電のほうは考えておられることだろうと思いますけれども,彼らのほうで具体的に採算が取れないというのは,それ以外のところは私としては承知していないところであります。
我々は我々の数字をこれから出そうとは思っております。ただ,全てが我々の数字どおりでいきますよという話にもならない。その数字もやはり岡電のほうにも提示して議論していきたいと思っております。その過程については,場合によっては大きく負担の概念が変わってくる可能性があるわけで,田口議員がおっしゃるように,他への影響も非常に大きなものがあるわけであります。議員の皆さん方にはこういう場を通じて提供し,またメディアを通して市民の皆さん方にも提示し,それで必ずしも十分でなければもう一つ違うことも考えてもいいと思いますが,どちらにしても透明性を維持しながら,市民の納得のいく形で結論をつけたいと思っております。来年度の予算をどういう形で出していくか,これから我々として慎重な議論をしていきたいと思います。
以上です。
田口裕士議員
今回の延伸化,僕,これは市民も含めて,あそこの商店街も含めて,重要な問題だと思うんです。特に商店街なんかはあれが延伸化することによって活性化していく。それから,創造劇場に至っては利便性の向上が計り知れないですわね,大雲寺の電停と西大寺町のあそこから降りて歩いて行くことを考えれば。そうしたことを考えると,実を言うと物すごく期待しているところであります。しかし,片一方で事業者は採算が取れないということで,あれ岡山市が幾ら申請しても駄目なんですよね,事業者が申請しなければ認可にならない。事業者は採算が取れないといってしない。オープンを含めて今度,何年だったかな,ちゃんと路面電車を延伸・環状化するという計画を出していますよね。でも,それが大幅に遅れる可能性が出てくる。やらなければいけないのに事業ができない。市の責任になっちゃう。事業者が採算が取れないからできんと言ようるのに岡山市の責任になるのもどうも僕には理解できない。
今までの答弁を聞いておってふと思ったんですけど,僕は事業者はあくまでも1社しかおらんので言わんのですけど,駅前の乗り入れのときには自分らが採算性があるから本気で一生懸命やりましたね。今回は採算性がないから,もうこれは公が全部整備すりゃええんだよ,俺らはちゃんと運用はしますからみたいな,どうも公共交通を担っている業者として,僕はこれ2月議会でも言ったけど,おかしな話。
確かに事業というものは利益を求めていく,それが会社としての当たり前の姿だと思います。だから,銀行も貸さないし,採算も取れない,お金を工面できないなら,岡山市が貸しゃええなと思ったんです,負担分を。30年間ぐらいの事業の中で返していただきゃあ,事業は前へ行くじゃないですか。岡山市が税金を余分にその一事業者に投入することは僕はできないと思う。だけど,やっぱりそうやって貸し付けてでもやっていくということも一つの案かなって思います。
だから,そうした今再三再四市長がおっしゃったように,やはりこの問題って──絶対事業はしていかなければならない。そのためには事業者にもやっぱりある程度理解してもらわにゃいけんし,一番大事なのは市民が理解する。そういう姿勢の中で透明性を確保する上でやっていただきたいと思うんで,再度その辺の御決意をお願いいたします。
これで質問を終わります。
ありがとうございました。
大森雅夫市長
劇場を建設する,そして劇場を運営していく中で,この路面電車というのは非常に効果が大だと思っていますが,私はそれだけじゃないんだろうと思います。表町かいわい,また南側の清輝橋もぜひこの環状化,延伸してほしいという声が私のほうにも来ました。だから,地元の意向は非常に大きい。それはもうおっしゃるとおりだと思います。何とか実現したいという気持ちはあります。しかしながら,やっぱり市民の納得の得られる形というのが重要だろうと思うわけであります。
田口議員のその貸付けの話は,これはたしか今できなくなっているんです。私も一回それを調べたことがありますけれども,貸付け自体はできなくなっていると。過去野放図にどんどんどんどん貸していった事例があって,それはまずいだろうというんで制度的にたしかできない形になっているんで,やるとすれば今のまま事業者でやっていただく。ただ,事業者にとってみても30年間で経営上プラスになるというのが国からも求められていますから,そうじゃなきゃやっちゃいけない。それはそのとおりだろうと思うんですけれども,我々も10月からの割引だとかいろんなことをやっているんで,我々としてはある面採算というのも取れるんではないかなというような思いもあります。しかしながら,岡電としては採算が難しいというようなこともおっしゃっているところでありまして,これが一体どうなのかというのを見極めていかなきゃならない。これもずっと見極めていれば事業自体が進捗してこない,できないということになりますから,やはり一定の節目を設ける必要があるだろうということで,予算を念頭に置いて整理していこうとしております。田口議員のこの路面電車延伸に対する思いは共有しているところであります。その実現に向けて動きたいと思っております。
以上です。